八ッ場ダム建設事業に伴い、長野原町の水没地区から出土された貴重な遺構や遺物などの文化財を収蔵して適切に保存すること、さらに地元住民をはじめ広く人々に展示などを行える拠点施設として整備された施設です。地域の歴史・魅力・先人達の営みとその大切さを理解してもらう普及活動の場、郷土愛を育む環境づくりの場、観光資源の一翼を担う場として活用し、後世にダムによる歴史を伝えていくことがこの博物館の目的であり、それを具体化することが施設計画のコンセプトになります。
計画施設は、八ッ場ダムの湖畔、丸岩などの山並み、不動大橋などの自然景観と調和することを意識し、自然豊かな環境とダムや橋などの人工美とのコントラストのなかに映えるデザインとしています。この場所でしか成立しない形態と動線計画を実践し、視覚的にも来訪者に博物館をアピールするファサードとして構成します。
施設の形態は、文化財を守る施設という観点から、文化財を自然や災害から守ること、シェルターで展示室や収蔵庫を包み込むイメージから発想、施設全体を大きな屋根材で覆うデザインを採用しています。ファサードの表面材には、水没地区から出土された縄文土器を再現する土器色の焼き物ルーバーを採用し、訪れる人たちにこの場所の歴史と自然を対比しながら、施設内へ誘導するプロローグとしています。
- カテゴリー
- 図書・展示施設
- 発注者
- 群馬県
- 所在地
- 吾妻郡長野原町
- 構造規模
- RC-3
- 延べ面積
- 1,706m2
- 竣工年度
- 2020年度
- Architect-Designer